レポート2017.04.23三作品共通のテーマは「地域の特色と人々の温かさ」。涙と笑いが詰まった地域発信型映画
4月23日(日)、那覇市の桜坂劇場・ホールBにて、地域発信型映画『サトウくん』『伊万里のまり』『耳かきランデブー』の上映と舞台挨拶が行われました。地域発信型映画は「自分たちが住む町の魅力を発信し、地域を活性化させたい」という熱い想いを、映画を通じて実現するプロジェクトです。
『サトウくん』からは佐々木想監督と三重県住みます芸人・カツラギの2人、三重県菰野町の地域代表者らが登壇。本作は温泉旅館の息子・土方くんと幼馴染の宇宙人・サトウくん、少年2人の心の成長を風光明媚な三重県菰野町を舞台に描いた物語です。
製作のきっかけについて、佐々木想監督が「菰野町自体、UFOの目撃情報や都市伝説が多く、町長から『UFOや宇宙人をテーマにしたら?』とアイデアを頂きました」と遠慮気味に小声で話すと、すかさずカツラギの2人に「実は監督とても人見知りなんですよ。もう監督の動き自体が宇宙人ですよ」と突っ込まれ、さらにオドオド。直後にマイクを通さずに話し始めると、町長にも「マイク使って話したら?」と突っ込まれるなど、そのやりとりに観客たちは大爆笑でした。
終始登壇者にいじられていた佐々木監督は、撮影当日だけ稀に見る大雪に見舞われてしまったことなど撮影中の苦労話をさらに遠慮気味に話すと、最後は登壇者全員で「映画を宇宙に向けて発信したい! 宇宙人がたくさん集まる町を目指します!」と今後のPRヘの意欲を語りました。
群馬県前橋市を舞台にした『耳かきランデブー』からは、ふくだみゆき監督が産休のため代理で登壇した夫の上田慎一郎監督、春風亭ぴっかり☆さん、ロバートの山本博、しずるの村上純、二宮芽生さんが登壇。本作は“耳かきは浮気か? 浮気じゃないのか?”をテーマに、耳かきが趣味のさやかと彼氏を取り巻く人々のドタバタ劇を描いたラブコメディーです。
撮影中のエピソードについて、「リハーサルで耳かきされ過ぎて、本番ではもう耳がすっからかんでした」と話すしずるの村上に対し、ロバートの山本からは「リアルに(春風亭ぴっかり☆さん)に『どっちの耳が良い?』って聞いて、『村上!』って言われたときジェラシー感じちゃいました」と本音が飛び出し、会場は大ウケ。また、代理登壇となった上田監督は「実は妻(ふくだみゆき監督)も耳かきが大好きで、この映画を機にカップルやご夫婦で“耳かきは浮気か? 浮気じゃないのか?”のボーダーラインについて考えて欲しいと話していました」とふくだ監督からのメッセージを笑顔で語り、「映画を観ると、少なからず人生観が変わったと思う瞬間があると思います。この映画をきっかけにみなさんの耳かきの価値観も変わったら嬉しいです」と話すと、会場からは笑いと拍手が送られました。
佐賀県・伊万里市を舞台にした『伊万里のまり』からは、中村周一監督、東島愛海さん、池内祐介、寿一実、伊万里市長、地域代表者が登壇しました。本作は、祖父、ダメ父、しっかり者の娘の家族愛と、野球に熱い想いを持つ地域の人々の姿を描いた物語。中村監督は「350年の歴史を持つ伊万里焼と野球が盛んな町なのでそこを結びつけることが難しかったが、地域や伝統の部分を切り取り、家族、人々の絆を表現できた」と本作を回想しました。
さらに撮影中のエピソードとして、甲子園を目指す少女役の東島愛海さんがとてもしっかりしていてNGを一度も出さなかったこと、むしろ彼女が撮影を引っ張ってくれたと明かすと、会場からは驚きと感心の声が。対して池内祐介、寿一実の2人が「我々はNG5回ずつ出してるからね…」「自分(寿一実)なんて60歳過ぎてるのに現場で騒ぎ過ぎて20歳の美術さんに叱られましたわ」と面目なさそうに話すと、会場からはドッと笑いが起きました。
最後に中村監督が「この作品を作ったのは僕たちだけじゃなく地域の人々。一緒に作った作品とこの情熱が世界中に伝わって欲しいです」と締めくくると、会場からは温かい拍手と大きな声援が送られ、3作品の舞台挨拶は幕を閉じました。