レポート2017.04.21ロングラン上映で色あせたポスターに感無量。『この世界の片隅に』片渕須直監督舞台挨拶
4月21日(金)、那覇市の桜坂劇場Aホールで『この世界の片隅に』の舞台挨拶が行われ、満席の観客から大きな拍手に迎えられて、監督の片渕須直監督が登壇しました。
劇場の前に掲示されている本作のポスターがすっかり色あせてしまっているのを見たという監督は、「公開されてから5ヶ月も、こんなに長く上映してくれているんだと感無量になった」と話します。
そして作品について、当時の広島・呉の様子が映された映像を見て、そこに映っている店、店員、買い物客の女学生と母親の姿をそのまま作品に描いて登場させているといい、「戦争前の、こんな風に平和だったんだという描写部分が自分では1番気に入っています」と笑う片渕監督。
また今回、沖縄国際映画祭という場で、4月21日に上映されることを意識したそうで、「72年前の4月21日は、沖縄の伊江島が占領されてしまった日。そこから、すず(主人公)たちのいる広島まで軍用機が飛んできたりしたんだろうなと」と語ります。
「戦争というのは、一気にではなく、すずさんのような若い女の子たちの憧れるものが次第にしおれていくことから、だんだんに押し寄せてくるものではと感じます。戦争の前にあったであろうささやかな暮らしや幸せというのを大事にしたい」と思いを話してくれました。
さらに、作品をすでに3回見て大ファンだというバッファロー吾郎の竹若が登場。「街がリアルで、そこに暮らす人たちやその行動などが生き生きと描かれている」と話し、「見終わると、考えるのではなく、感じる映画でした」と作品の魅力を紹介しました。
竹若は、「とりあえず見て」と友人から本作を薦められたエピソードを明かし、「自分が人に薦めるときもやっぱり『とりあえず見て』なんです。監督から何かもっとアピールする言葉はありませんか?」と監督へのお願いがされました。するとすかさず「とりあえず“2回”見てください!」と返す監督に、竹若も観客も大爆笑。また、DVDやブルーレイの発売がまだかと聞かれるとも話し、すぐに「そんなにすぐには出せません」と答えた片渕監督に「正直ですね!」と笑う竹若でした。
最後に、「全国の映画館に舞台挨拶で行かせてもらい、観客の方々の雰囲気を感じることが出来て嬉しいです。この作品はぜひ、劇場の大きなスクリーンで見ていただき、当時の雰囲気や空気を感じていただきたいと思います」と監督が述べ、大盛況のうちに舞台挨拶が幕を下ろしました。